久しぶりに大濠の能楽堂に行ってきました。
能の公演でなく、友達のお謡の発表会だったので、お客さんもそう多くなくゆったりな感じ。
で、訳あって色々座席を移り、橋掛りのそばに座ったら・・・いや、ここいいですねえ!
というお話をします。
脇正面も実はいいのか?

おさらい会ということで正直人もまばらだったので、最初は正面に陣取って友人の発表をしかと見ました。女性のお客さんは半分くらい着物だったかな。わたしは朝イチから正午くらいまでいましたが、客席はほぼ全員が年配の方でした。
驚くべきは、いかにお弟子さんたちの発表とはいえ、演じておられる途中にずっとしゃべってる人が複数いたこと!どうかするとさらに、知り合い同士が堂々と「丁寧なご挨拶」を始めていた!いやあ・・・うむ。
まあね、と思いながら座っていたら、今度は舞台からのお謡の声に寄り添うような重奏低音がずーっとしている。
ん?これは?とあたりを見れば、おお、あちらの男性が、客席にいながら、舞台上のお謡に合わせて自分も謡っているではありませんか(まあ小声ですが)!
絶好のエクササイズタイム?
しかしこれにはちょっとイラっとしたので、合間に席を変わりました。
その他にもまあいろいろあって、じわじわと複数回席を変わり移り(がらすきだったからね)、最後はとうとう橋掛りの横の席まで流れ着きました。
橋掛りというのは、シテ(主役)が舞台に上がる廊下(?)で、まあ花道とはちょっと違いますが似たような感じのとこです。ここのすぐそばの席は・・・おや?なんかいい。
今回橋掛りは使われませんでしたが、ここを演者さんが通るとすると、いやこれは、めちゃめちゃ近いぞ。
かなり嬉しいかもしれない。
気のせいか脇正面から見るとより舞台の上がリアルに見える気がする。
思えば能を見始めたころは、なぜか脇正面のしかも桟敷からばかり見てたっけ。観能友達がお謡を習い始めたためもあり、より演出がわかりやすい正面の席ばかりで見るようになりましたが、もしや脇正面もやっぱりいいのか?
余談ですが、ワキ方の演者さんに人気の方がいる時は、あえて脇正面を取る人が多いともと聞きました。ワキ方さんは舞台の、正面から見て右側に座られますからね。
それでも能が観たくって(謎)

能を見ると極めて高確率で眠たくなるのですが、それでもなぜか、能が見たくなるのが不思議なところです。
正直何もわかってないと思うし、大したことは感じられてないのですが、なんで見たくなるんでしょうねえ。コロナ前には太鼓方の先生が能の講義をしてくださるのに通ってたころもありましたが(なくなった)、予習をしてから見るとやっぱりなお面白いし、謡本(つまり台本)を知っておくとすごくよくわかるし見どころも理解できて、やっぱり見やすいと思います。
ただ、あえて何もないところから見て、そこから何を感じとれるかというチャレンジもありかもしれません・・・(わたしはあんまり感じ取れませんが)。
能を楽しむにはやっぱり場数もいるかもと思いますが、場数を踏むにはなかなかチケットがお高い。初期投資としてあの金額を続けて支払うには勇気がいります!
(時々、普及のためもあり手頃な価格で出してくださる公演もあって嬉しいです。
福岡なら「クリスマス能」。
3000円台で行けます。
わたしが最初に行ったのもこれでした)。
同じ金額で、コンサートやお芝居なら(まあ芝居も種類によりますが)とりあえず見れば判るし楽しめるしね。
そこが敷居の高いところかな?とも思います。
能のビジュアルはかなり魅力的です!
衣裳もすてきだし、やっぱり面はいいよなー。
外国人の方が能を見るときも、そのへんに注目だろうか。と思って外国人の方のブログをちらっと探してみましたが今回はあんまり見つけられませんでした。
一本見つかったけど、この方はそもそも文化や精神に興味のある方なので、一般的な見方とは少し違うかも。「能」の見方が深かったので、なんか参考になりました。リンクを貼っておきますね。
Getting To Noh The Present Moment with Noh Theatre at Yamamoto Nohgakudo
外国の方が「日本的」なビジュアルの舞台を楽しむなら歌舞伎を見るケースが多いのかもな。
今年「六つの顔」という映画を観まして、そこで狂言と演劇(特にヨーロッパの)の関係について言及するところがありました。
そのへんから、伝統芸能と「演劇史」を意識するようになっています。
かなり面白いテーマになりそう。
能について、その角度からも見てみたいなと考えています。
この日の大濠公園は木々も色づく秋で、寒くもなくお天気よくって爽やかで気持ちよかったわあ。
公演時と違って、能楽堂のロビーなどもほぼ空っぽ。
いつもは塞がっている、公園に面した窓の前の椅子もあいていて、その取り合わせがなんとも奥ゆかしかったです。
建物好きにはたまりませんな。


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